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アンクル・トムの小屋




「対立」

もともと奴隷制度は
アメリカ全土に存在していた

北部で消滅した理由は
「ただ採算が合わなくなった」
単にそれだけの理由だ

別に北部に善人が多く
住んでいた訳では無い

工業や金融の発展した北部と
綿花を主な産業とする南部では
必要とする労働力が異なっていた

奴隷問題を除外しても
北部も南部も各々の
利益を追求し対立した

北部は国内市場の保護を求め
高関税政策を希望し

綿輸出に頼る南部は
低関税を連邦政府に望んだ

南北戦争の原因は
一つに絞る事は出来ない

しかし極論を言えば
自分たちの利益を守るためだ

奴隷たちの人権や
人としての良心は
残念ながら感じられない



利益の追求と奴隷制度は
大きく関わっている

奴隷は動産として
法律で認められていた

1860年の所有財産として
奴隷の評価額は約20億ドル

南部の奴隷所有者にとって
奴隷制度廃止は奴隷(動産)を
失うだけでは済まない

農場を維持するためには
奴隷に代わる労働者を雇い
給料も払わなければならない

それは当然の事かも知れないが
農場主にとっては死活問題だった

次第に自分たちの土地や
財産が奪われるという
恐怖感が芽生えてくる



「感情」

時代を少しさかのぼる

独立後のアメリカでは
北部のみならず南部でも
奴隷制度廃止論が唱えられ

自由、平等、幸福の追求を
理想とする国家の汚点として
奴隷制度は攻撃されていた

最も激しく廃止を訴えたのは
自由州のニュー・イングランドと
中西部諸州であった。

しかしニュー・イングランドや
中西部でも奴隷制度は反対だが

「白人と黒人が平等である」
と言う考えには大多数が賛同せず
強い抵抗を示した

アメリカの良心としての
奴隷解放を目指した理念は
受け入れられなかった


1830年代に入ると
奴隷制度廃止の運動家は

綿花栽培の拡大と共に
奴隷制を拡大した南部を
攻撃の的にするようになる

標的にされた南部人は
非難された事を不快に感じ
自己防衛のため反発する

奴隷制度の論議になると
人々は感情的になり譲歩せず

その他の議論にも角をたて
敵対関係を生む原因になった



「信仰」

1852年3月

一冊の本が出版される
作者はハリエット・ストウ

「アンクル・トムの小屋」
Uncle Tom’s Cabin

奴隷の悲しい半生を描いたこの本は
1年で30万部を売り上げ
読者に大きな影響を与えた


内容はキリスト教色が強く
善人と悪人がはっきりと
役柄に分けられている

奴隷商人は勿論、悪役だ
言葉汚く奴隷を罵る


主人公のトムが仕えていた
シェルピー家は真面目なトムを
信頼し大切にしていた

夫人はキリスト教をトムに教え
息子のジョージもトムに
とてもなついていた

しかし借金のせいで
トムを売りに出す事になる

奴隷は動産なのだ


シェルピー家や奴隷仲間が
悲しむ中、トムは足枷を
付けられ売られていく

シェルピー夫人は泣きながら
必ず買い戻すとトムに約束する

奴隷商人が2キロほど行った所の
鍛冶屋で手錠を直す最中に

トムになついていたジョージが
後を追ってきてトムに抱きつく

そして奴隷商人に抗議する

「人間を買って獣みたいに
  鎖でつなぐなんて、
 恥ずかしくないのか!」


奴隷商人は悪びれず答える

「全然恥ずかしく無いですね
 あなたがた偉い人たちが
 人間を売るんですから!
買うのは売るより恥ずかしい事
 とは思いませんね〜」


悪役ながらもっともな意見だ


幸いトムの次の主人シン・クレアも
善人でトムを大事にした

特に娘のエバンジェリンは
優しく天使のような少女で
トムにたいして親切だった

妻と息子を残してきたトムは
エバンジェリンの手助けで
シェルピー家に手紙を書く

必ず買い戻すと約束した
夫人の言葉を信じていたのだ

シェルピーと夫人は手紙を読み
涙するが、買い戻さない


小説に細かい描写はないが
私にはそこそこ裕福な生活を
送っているように思える

読んでいるとつい

買い戻してやれよ!
クリスチャンだろ?


と私は思ってしまう


むしろシン・クレアの方が
信心深い訳では無いのに
善人だったと感じる

何故なら事故で亡くなる前
トムを自由人にする手続きを
進めていたからだ。

不幸な事故が原因で
シン・クレアは亡くなり
トムはまた売られて行く

奴隷は動産なのだ


次の買い手は無慈悲で
トムを家畜のように扱い
激しく暴力をふるう


シェルピー家を継ぎ
立派に成長したジョージは
トムを買い戻すため
必死で彼を探しに行く

しかしトムの居場所を見つけ
訪ねて行った時には
トムは既に息絶える
間際であった

トムはジョージの姿を見て喜び
今まで受けた暴力に対して
恨む事もせず
最後の言葉を残す

「クリスチャンで良かった」



物語で一番心から神に仕え
教えを守ったキリスト教徒は

奴隷として生まれ
奴隷として生きた
アンクル・トムだった


ジョージはトムの意思を継ぎ
家に仕えていた奴隷を
自由人にする手続きをする

奴隷たちはジョージに
追い出さないで欲しいと頼む

ジョージは、もし将来
自分に借金が出来た時に
彼らが売られないために
自由人にした事を伝え
残る者には給料を払うと
元奴隷たちに約束し

物語は幕を降ろす


UncleTom001.jpg


この小説は読者の
クリスチャンに様々な
影響を与える事となる

奴隷制度に全く興味を
持たなかった人々が
奴隷制度反対派になり

つい昨日まで黒人を
蔑視していた人々が
奴隷が可哀想だと唱える

何故なら自分は信心深く
良い人間だと思うからだ

奴隷たちを解放して
働かせるなら給料を
払うべきと思いはじめる

何故なら払うのは自分では無く
南部の奴隷所有者だからだ

トムの殉教は伝わらず
ただ感情だけが動きだす


かわいそう.......

南部人は恥を知れと.....




《筆者あとがき》

今回のブログは、前回に続き南北戦争歌を
紹介しようと書き始めましたが
余りにも前置きが長くなってしまった為、
2回に分けて書く事にしました。
楽譜掲載、楽曲紹介は次回のブログ
南北戦争歌第2弾でご紹介する予定です。
南北の対立、及び小説「アンクル・トムの小屋」について、
個人的な感想を述べてしまいました。
今後もっと勉強を重ねれば、私自身の見方も変わってくるとは思いますが、
今の時点で納得がいかない事、
理解する事が困難な事を自問しながら
主観として書かせて頂きました。

最後になりますが読んで下さった皆様に
感謝いたします。

ありがとうございました。



次回につづく








プロフィール

幸塚淑夫

Author:幸塚淑夫
Yoshio Yukizuka
 ♪ギタリスト♪
  東京都
 ♪ギター演奏
 ♪作曲&編曲

地下鉄成増駅より徒歩1分のコスモホール金曜日と月~土曜は徒歩5分ほどのプライベートスタジオでギターの個人レッスンをしています。このブログでもギター練習に少しでも役立つ情報をご紹介できれば嬉しいです。♪♪♪

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